ごあいさつ

教授あいさつ

自然の真理を垣間見る興奮と、生物学や医学の発展に貢献する充実感

 学生時代、皆さんは、多くのことを教科書や書物から学んできたことと思いますが、その一行一行の記述は、先人の膨大な研究の積み重ねに基づいています。しかしそれらの中には、その時点では正しいと信じられていたとしても、実は確かではない根拠に基づいて推察されているものも含まれています。これまで何が本当にはわかっていないのか、を見極め、未知の事象を解明するには、物事を深く考えて実験により検証する、という作業が必要になります。また実験をしてみると、予想とは異なる、簡単には説明できない知見を見出し、そのような時に、独自性が高い研究が進展することがよくあります。誰も知らない自然の摂理を見出すという、創造性豊かな経験をした際の喜びは大きなもので、やりがいのあることです。
  私たちは、主に細胞や動物モデルを用いて、糖尿病や肥満症の成因や病態生理の基礎となる知見を探求しています。具体的には、膵β細胞におけるインスリン分泌機構や、脂肪細胞における脂肪蓄積機構など、ヒトをはじめとする哺乳動物で高度に分化した細胞の生理現象と、それが破綻した際の疾患との関わりを研究しています。もちろん医師が患者さんを直接診て得られる情報は貴重ですが、目の前にいる患者さんの治療法は、これまでに得られた知見に依っており、それを超える新しい方策を得るには限界があります。私たちは、基礎医学や生物学の研究に携わり、自然の真理を垣間見る興奮と、生物学や医学の発展に貢献する充実感を一緒に味わってくださる方を求めています。研究内容、活動に興味をお持ちの方は、お気軽にご連絡ください(tizumi@gunma-u.ac.jp)。たとえば私たちの日本語総説(インスリン分泌の分子メカニズム.「メンブレントラフィックの奔流-分子から細胞、個体へ」蛋白質 核酸 酵素 53,2136-2140,2008; グラニュフィリン発見の体験記. 「私の発見体験記~成功と失敗のはざまで~」 実験医学26,2644-2647,2008)などを参考にしてくださると幸いです。

教授 泉 哲郎

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